とんちゃんといっしょ

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旭川医大とNTT東日本の訴訟が終わってた件について

この記事が話題になった際に、そういえば旭川医大といえばNTT東とシステム開発で揉めていたところという話があったのでその後どうなったのかを調べてみた。

news.yahoo.co.jp

結論から言うと2018年に旭川医大の上告が最高裁に不受理と判断されNTT東の勝利が確定してた。

自分で散々調べても有名になった旭川医大に14億円の支払いを命じる2審判決(札幌高裁)とそれに関する記事ばっかり見つかるものの、結果が書いてあるのは殆ど見つからないのでここに記録として残しておく。

旭川医大NTT東日本の事件について

詳しくは以下のブログやダイヤモンドの記事を見るのがいいのですが、簡単に言うと「期待していたシステムができていないので損害を受けた」という旭川医大と、「システムができなかったのは追加要望が続き仕様凍結ができなかったからであり、不当な受領拒絶でもらえる料金が受け取れなくなった」というNTT東日本の訴訟です。

病院情報管理システムの構築と同システムをリースすることを目的とする契約(以下「本件契約」という。)に関し,一審原告は,一審被告に対し,納期までに上記システムの完成及び引渡しがなかったために損害を被ったとし債務不履行に基づく損害賠償を請求し,一審被告は,一審原告に対し,上記遅滞につき,一審被告には帰責性はないのに一審原告の協力義務違反及び不当な受領拒絶により,売買代金を得られなくなったとして,債務不履行に基づく損害賠償を請求した。 - 2審判決文 「判示事項の要旨」より

1審ではNTT東日本側がプロジェクトマネージメントを怠ったとして2:8の割合でNTT東日本側に問題があるとしたものの、お互い納得行かないということで控訴を行い2審へ。そして、2審では1審の判決を逆転する10:0で旭川医大側の問題だとしたことで、当時のシステム開発関係者の間に衝撃が走りました。

当審では,一審原告には本件契約上の協力義務違反がある一方,一審被告にはプロジェクトマネジメント義務違反があったとは認められず,一審被告には債務不履行履行遅滞)について帰責性はないとして,一審原告の請求を棄却し,一審被告の請求を一部認容した。  - 2審判決文 「判示事項の要旨」より

storialaw.jp

diamond.jp

そしてもちろん負けた旭川医大は上告を行い、判断は最高裁に・・・というところで情報が途切れる。

上告はどうなったのか?

ネットを調べると最高裁で上告が不受理されたという情報は見つかるけどソースが見当たらない

北海道新聞(電子版)5月15日付け記事によると、最⾼裁第2⼩法廷(菅野博之裁判⻑)は、5月11⽇付で、旭川医大側の上告を受理しない決定をしたようです。 そのため、この事件は、上記札幌高裁の判断で確定しました。

storialaw.jp

そして最高裁は上告不受理の決定を下し、判決は確定した。

www.shares.ai

大本の情報は北海道新聞の記事らしいのだがリンク切れで中身は見えず・・・

電子カルテ訴訟 旭医大の敗訴確定:どうしん電子版(北海道新聞https://www.hokkaido-np.co.jp/article/189431

個人ではもうここでお手上げだなということで、知り合いの法律関係者に聞いたところサクッと答えを出してきてくれた。

dtp-cm.d1-law.com

上記のサイトで検索した結果、上記の北海道新聞の言うように不受理で終わっているとのこと。

上告審平成30年5月11日/最高裁判所第二小法廷/決定/平成29年(受)2156号 

もちろん1審2審と関連付けられてるので間違いないということでこの訴訟はNTT東日本の勝利で2018年にひっそりと終わっていたらしい。

旭川医大NTT東日本ともに大体的な報道もしていないようなので多くの人が結末を知らないままかもしれないが、NTT東日本側の勝利で終わったということはシステム開発に携わる身としては安心する面が大きい。

もちろん、今回がたまたま10:0という結果だっただけで、状況によっては9:1,8:2または1審判決のように2:8のようなこともあるだろうが、ユーザとシステム開発の双方の協力なしにはシステム開発はうまく行かないということは理解しておかなければならないと思う。

雑記

今回一番苦戦したのは裁判所の裁判例検索である。

www.courts.go.jp

検索しても見つからないので条件が悪いのかと色々いじってみたが、最終的には以下の記述で諦めたw

本裁判例情報には,すべての判決等が掲載されているわけではありません

そんなわけでどうしても裁判結果などを知りたいときは知り合いの法律関係者もしくはD1-Lawを契約しましょう。